かどいの『I'm in Rock!-Ⅱ』

ある文筆業者(分泌業者ではない)の生存証明。基本的に毎日更新。

2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

#2567

よい時間に代償があるとしたらそれはおそらくよくない時間がいっそうみすぼらしく思えるようになることだ。

#2566

ひとがひとを殺してはならないのは、それが可能な自分に気づいてしまうからだ。

#2565

ひとの世に何でも赦される理由になる事情などないのだから、誰もが少しずつ肩身狭く生きればよろしい。すぼめた分の肩の幅はわずかに自分を息苦しくさせるだろうが、その分誰かの息を助けているのは間違いないし、自分自身の呼吸がそもそも何人もの肩すぼめ…

#2564

余白、余剰のないものには恐怖する。特に害があるわけでもない節足動物の類にわけもわからず恐怖を覚えるのは、ひたすら生そのものへの執着を追求するように見える彼(彼女)らの余白や余剰を理解できないからかもしれない。

#2563

既存の知識を学ぶのは、自分の時間を有効に活用するためだ。学ぶことに自分の時間を奪われるという認識は、もっと根本的な知識の欠如による誤解に過ぎない。

#2562

誰にでも譲れない一線というものはある。それと遭遇した時にどんな態度を採るかは、その相手との関係性だけにとどまらず、他のあらゆる関係性にも影響をもたらす。その一線を軽んじる者は、最終的に、誰から重んじられることもなくなる。

#2561

『その人の身になって』という指導ほど始末の悪いものはない。異なる価値観をもつ誰かの境遇を自身に引き寄せることは、自身とは異なる誰かというひとつの概念を自身の中で毀損することになる。このことの意味がわからない人は、自分の好みを全面的・徹底的…

#2560

確かに人間は、対象の価値を知るのに比較以外の方法をもたない。だがそれは、必ずしも大量のサンプルを必要とするものではない。当人が納得できるサンプルがひとつでもあれば、それだけで価値の特定は可能なのだ。なぜなら当人が当人のために定めた価値は、…

#2559

最後に癒してくれるのは大概、くだらない知識や記憶の類だ。世間一般で重要とされるようなものごとではない。だがそれに癒される以上、当人にはそれが最も重要な知識であり記憶なのだろう。そしておそらくはそれが、当人が存在した理由なのだろう。

#2558

憎しみを喰らって生きている人に処方すべきは、慈愛の心ではなく、知識と知性だ。知り、理解できれば、ただひたすらに憎むことはできなくなる。それは確実に懊悩を増やすが、少なくとも憎しみが生み出す無限回廊から抜け出すことはできるだろう。そこから再…

#2557

寛容とは他者を認めた上で受けいれることであり、単なる無関心すなわち認めるという手順を省いた共存とはまったく異なるものだが、現象としては大差ない。

#2556

そこそこの絶望を経験した者は、しばしば他者に対して傲慢になる。自身が世界の極北を知ったつもりでいるため、他者を至らない者と考えるからだ。その程度の絶望は周囲にあふれていることに気づけずにいるのである。

#2555

叶えたい願いがあるうちが華。

#2554

避けられない面倒に直面した時、そのひとの資質が仄見える。それでもなお面倒を避け少しでも面倒を減らそうとするか、その面倒に正対するか。前者は結果的に面倒を増やすこともあるが、後者は根本的に leader には向かない。

#2553

ことばは日常から学んでこそ生きたものになる。生きたことばを話すひとは、つまりその日常をしっかり営んでいるひとだということだ。そして一方、生きたことばを話せない人は、その日常を疎かにしている人といえる。

#2552

前人がおよそやり尽くしている。だが、キミがキミであることは、キミ以外にはできないんだ。キミには、キミであること以外にやり遂げられることがほとんどないかもしれない。だがそれは、本当にキミ以外にはできないことなんだよ。やり遂げてごらん。

#2551

限界なんてものはたいがい通り過ぎたあとに「ああ、あれがそうだったのか」ってわかるものだからね。つまり、いつも手遅れなんだよ。

#2550

なにかをしていないと生きている気がしない、していない者は生きているとはいえないと思えるうちは若い。老いてくると、息をしているだけでもすごいと思えるようになってくる。ましてなにかをしている、しようとしているなんて、それだけで偉人だ。

#2549

人間なら誰にでも得手不得手ってものがあるんだ、同じ最低線を設定して全員が同様にやれというのは無理ってものだよ。他者の尊厳を重んじること以外に関してはね。

#2548

正当化するやつはまだマシなんだよ、正当化の必要があると知っているんだから。開き直ったやつも、開き直らなきゃならなかった分だけ救いがある。厄介なのは自身を疑わない、疑うことすらできない連中だね。連中とはマジで関わり合いになりたくないもんだ。

#2547

論争のいちばん難しい点は、論敵を探すことだ。論を交わすには、相互に相応の知識や知性、節度、人間性などを備えていることが不可欠だが、それらを兼ね備えたひとはたいがい論争以前に自分の内側でさまざまなシミュレーションをおこない、それなりの結論を…

#2546

教養なんぞと気張る必要もない。要は「おもしろい」の規準だ。その規準次第で、つまらん情報が教養と讃えられることもあるし、ものすごい知識が寝言と揶揄されることもある。そのひとがなにを「おもしろい」とするかが、誰かを教養あるひとと評価するかどう…

#2545

大は小を兼ねるが邪魔な時も多い。何事にもほどほどってのは大切だ。

#2544

本気なんか出さずに生きてゆければそれに越したことはないんだよ。本気を出さなきゃならない状況なんてのはおよそろくなもんじゃないし、一度本気を出したら中毒症になって気楽には生きられなくなる。そんな人間はできるだけ少ない方がいいんだ。

#2543

明日は必ず来ると思ってはいないか?

#2542

ひとりになることで得られるのは平穏。失うのはたのしさ。

#2541

生きている、なんて傲慢な考え方はやめておけ。生かされているんだよ。誰によって、なんのためにかは知らないが。

#2540

どんなツールもそれをハンドルする技量がなければ役に立たない……どころか、害をなすこともある。知識もまたそういうツールのひとつなんだ。

#2539

馬鹿の考え休むに似たりなんて言えた時代は平和だったんだよ。

#2538

どんな者へのどんな行為であれ、自ら他者へおこなったことは自らが同じことをおこなわれ得ると考えるのが平等というものだ。