かどいの『I'm in Rock!-Ⅱ』

ある文筆業者(分泌業者ではない)の生存証明。基本的に毎日更新。

2011-01-01から1年間の記事一覧

#111

傷ができた時、肉体は常にない勢いでその再構築に取りかかる。普段は現状の維持のみのためにおこなわれる細胞分裂がえらい勢いで繰り返され、それは傷が埋まるまで止まらない。心も似たようなもので、傷ができた時には、えらい勢いでそこを覆うための活動を…

#110

執着をもたない人は信じない方がいい。まず第一に、人間が本当に執着を断つことは不可能なのだから、自分は執着をもたないと公言する人は、その人自身を含む人間というものを見誤っている可能性が大きい。つまり土台がすでにやばい。第二に、本当に執着をも…

#109

知識はひとを傲慢にし、思惟はひとを謙虚にする。ところが、若いうちは逆になる。つまり、それが切り替わって逆転した時が、おとなになった時なんだ。

#108

毎日のことの九割九分ぐらいは、ついででいいんだよ。朝、起きた。ついでに着替えて、メシ食った。ついでに出かけて駅まで行ったら、電車が来てたんで乗った。降りたら会社の近くだったんで、ついでに出勤した。そんな感じでね。ついででいいんだよ、ついで…

#107

奴隷なき主と、主なき奴隷。前者は単に不便なだけだが、後者はひどくやるせないだろうね。だから、主よりも奴隷の方がはるかに語るに足る相手だと思うんだ。

#106

たいがいのことは、円環を描いている。対立する概念と思えるものも、それぞれに突き詰めると同じような結論に至るんだ。ものすごく弱いってことは、ものすごく強いのと等しいし、ものすごく強いってことは、ものすごく弱いのと等しいのさ。

#105

酔うために酒を飲むという人のきもちが、もうひとつわからない。酔わなければ実現できないと思えるようなことは、酔ったところで実現できやしないんじゃないかね。酒に酔った程度で実現できることなら、しらふでいたって充分に実現できるはずだと思うんだよ…

#104

かつては数十人の奴隷を使ってやっていたことを、今は電気その他の力でおこなっている。電子奴隷って概念を一般化してもいいんじゃないかな。CPUの中で、哀れな奴隷が駆けずり回って奉仕してくれてるってことだ。でもそうしたら、そのうち「哀れな電子を奴隷…

#103

概念を共有することで、人間はずいぶんと広い世界を内包できるようになった。人間独自の世界の組み立て方がそこにある。経験至上主義はそれに逆行する、むしろ獣に近い、狭い世界観だ。まあ、経験できる、していいことであれば、するにこしたことはないんだ…

#102

記憶はすべて同一平面上にある。十年前の記憶もついさっきの記憶も、すでに過ぎた時の中にあるという点では等しいんだ。時間の流れとともに変化したもの――たとえば恋人との関係のあり方なんてものも、そうだ。成就の充実も破綻の悲嘆も、記憶としては同一平…

#101

それが消耗品の類でない限り、いつか棄てるであろうと思うものは手に入れるべきじゃない。いらなくなったら棄てればいいと思いながら手に入れようとするのは、欲深に過ぎる。

#100

百人の恋人とつきあっても、ひとりひとりに抱く感情は全部違う。百人の誰もが最愛の、そして唯一の恋人なんだ。そう思えなかったら、恋人なんていなくてもいい。

#99

許せないと思っているうちは、許す可能性がある。限界を越えると、もう許すとか許さないの次元じゃなくなる。次の次元には、怒りも憎しみもない。対象の否定もない。なにもないんだ。その対象がすっぱり放棄されて、存在しなくなってしまうんだよ。本当だ。

#98

自分の誤りを認めることは、そんなに難しいことじゃない。じゃあなにがそれを邪魔しているのかというと、誤った自分を嘲弄する誰かに屈伏することなんだ。自分の誤りとそれを嘲弄する者への意識、それは切り分けて考えるべきだ。嘲弄する者が自分自身であっ…

#97

愛に真実なんてありゃしない。というより、真実と最も離れたところにあるのが愛だ。対象に執心するあまり、存在しないものが見えたり感じられたりしてしまうのが愛なんだからね。そしてそれは、いいことだ。なぜって、この世に在って真実としか出会えないな…

#96

アタマで感じる喜びがあって、カラダで感じる喜びがあって、そしてそのどちらから生ずるものでもない喜びがある。それは大概、感じちゃったあとでそれだとわかる。わかってしまったら、そこにはぽっかり大きな穴が開いてしまう。そしてその穴は、二度とふさ…

#95

誰かのために尽くしていると思う、それは自己満足でしかない。一方、誰かに尽くされていて嬉しいと感じる、それもまた単なる思い込みでしかない。けれど、それであれこれが丸く収まるのなら、それに越したことはない。たとえすれ違いの勘違いであったとして…

#94

整然とした様子に心惹かれるうちはまだこどもだな。おとなってのはむしろ、雑然としていたりどこか歪んでいたりする様子の中に安らぎを見出すもんだよ。

#93

君には譲れない事情がある、そうだろう? だがなぜ君は、他者にも同様に譲れない事情があるということを考慮しないんだ? それが君の想像力の欠如に因るものであれ、あるいは君が君の事情は他者の事情に優先すると考えているゆえのものであれ、君が他者の事…

#92

「ひとそれぞれ」ってのは最後の台詞、互いの理解を放棄するという宣言なんだが、それをわかって言ってんのかね?

#91

これを伝えずには会話を終えられないと思う時に限って、相手は独自の解釈を展開するもんだ。結局いつまでも伝えたいことは伝わらない。

#90

賞賛は常に上から目線の産物。だから、褒められてイイ気になっている姿はどこか間抜けに見えるんだ。下に見られて喜んでるってことだもんな。

#89

質量保存の法則がある以上、無から有は生み出せない。だから世の中でいうところの「つくる」ことは、それが「作る」であれ「造る」であれ「創る」であれ、生み出しているわけではなく、「材料となるもののかたちを変えている」だけだ。「つくりたいひと」は…

#88

「お尻とお尻を合わせて、おしりあい〜♪」 「合わせたケツとケツが別れて、けつべつ〜♪」

#87

過去に悪い思い出しかもっていない人には、多分、悪い未来しかないだろう。 どんな状況でも、本当に悪いことばかりってことはないもんだ。だから、悪い思い出しかもっていない人は、自身の判断で悪い思い出だけを拾ってきたってことになる。いい思い出になり…

#86

いつの時代であれ、年嵩は若者を貶す。若者はそれを年嵩の老いのせいだと笑い、年嵩はそんな若者をもののわかっていない連中だとさらに貶す。けっこうなことだ。現実に老いはあり、また若者は知識も思索も足りないのだから。試しに、年嵩が若者を理解しまく…

#85

人生の味ってのは噂に聞くよりずっと単調だから、薬味をほどほどに添えた方がいい。けれど薬味だらけの人生ってのも、思ったよりは平板なもんだ。薬味はやっぱり薬味であって、主役にはなれないんだな。

#84

そろそろ、ものを知っていることと頭がよいってことを、誰もが明確に区別できるようにしないといけないんじゃないか。知識の量が賢さだった時代は、もうとっくに終わってるんだから。

ブラ三で遊ぶ

『ブラウザ三国志』っていうオンラインゲームがあるんですが。 そのゲームのフィーチャーの中に、自分の“国”の人口を殖やす、ってのがあります。 戦って得た領地に村や砦を造り、そこに施設を造ると、その施設に応じて人口が殖えてゆくというシステム。そう…

#83

自分の出す音に興味が抱けなくなったら、ミュージシャンはやめた方がいい。同様に、自分の書くものに感動ができなければ、物書きはやめた方がいい。誰かがどう評価するかじゃないんだ。まず自分なんだ。