かどいの『I'm in Rock!-Ⅱ』

ある文筆業者(分泌業者ではない)の生存証明。基本的に毎日更新。

2013-07-01から1ヶ月間の記事一覧

#317

今なお酒屋で『氷結』の文字を見ると『氷結果汁』の名を思い出し、そして必ず「こおりけっかじる」と脳内で呟いてしまう我が言語中枢にこそ災いあれ。 (キリンビールの『氷結』はかつて『氷結果汁(ひょうけつかじゅう)』という名で販売されていた。のちに…

#316

若年層に支持される新しいメディアは必ず社会から目の敵にされ、その攻撃は次の新メディアの登場まで続く。そしてそのメディアが攻撃を受けなくなった時、それでもなお生き残り次代に受け継がれたものは文化として社会の支持を得る。生き残らなかったものは…

#315

知とは実用性と無縁の位置にあってそれ自体が価値であり目的でもあるもの、であるべきなのだが……知る限り有史以来知がその位置にあり得たのはscienceが完全に神学の一分野だった頃の、さらに一時期だけのことのようだ。現在では知は当然のごとく実用性によっ…

#314

アニミズムというのは実に便利な作法であって、形而上下の別どころか他者との概念の共有の有無さえ問わず勝手に神格を設定できる。ある個がそれを崇め始めたら、他者がなにをいおうとその個にとってそれは神なのだ。ただ問題は、他者にとってその信仰が理解…

#313

愛という概念自体は全然虚しいものじゃないと思うんだが、それが具体的なかたちを得ると突然空ろで安っぽく感じられてしまうのはなぜなんだろうかね。

#312

思いつきで起こした行動はたいがい後悔に結びつくが、熟考ののちに起こした行動が後悔に結びつかないとは限らない。もちろん後悔のかたちや大きさはそれぞれに異なるし、思いつき行動の後悔が必ず熟考行動の後悔に勝るというものでもない。それでは行動を起…

#311

バカなやつほど知識に頼りたがる。

#310

突然だが小林太三氏に対する最大級の感謝と尊敬の念をここに表明する。というのも、実家から35年前に買ったトイガンのパーツが発掘されたからだ。それらは今なお魅力を備えていた。あるいは当時以上にオレを熱くするものをもっていた。こんなオモチャ、滅多…

#309

やりたいことは多々あるが、疲れているし暇もないのでなかなか取りかかれずにいる。たまさか暇ができると、まず回復のため休養する。ようやく疲れが取れてさあやれるぞというコンディションになると、また暇がなくなる。そんなこんなで、いつの間にかやりた…

#308

「結果より過程が大切」と言う人は、つまりそれだけ結果を重んじているのだ。でなければ比較の対象に結果をもってこない。信頼するに足る判断規準として結果というものを認識しているからこそ、それと比較して過程が大切という結論になる。絶対的な過程信奉…

#307

この政治家にしてこの選挙民あり、なのか。それともこの選挙民にしてこの政治家あり、なのか。んー。でもまあ、どっちでもいいや。もう。

#306

いや、だからテトリスのおもしろさはさ、テトリス=四段消しができる状況を作ることにあったわけで、四段一気に消えるからおもしろいわけじゃないんだよ。要らないブロックが落ちてくるのに耐えて耐えて耐え抜いて、端っこ一列だけ残してぴっちり組み上げて…

#305

自分が良いと思ったものごとに対して周囲の他者からの強い賛同が多く得られた時、安心し喜びを覚えるのは常人、当然と思って大した感慨も抱かないのは身の程知らず、しまった出遅れたと思うのはオタク、やばい感覚が鈍ったと思うのは根っからの山師である。…

#304

自分が良いと思ったものごとに対して周囲の他者からの賛同が得られなかった時、自分の選択眼や判断規準に自信がなくなるのは常人、周囲の見る目の無さを嘆くのは才人、やった出し抜いたと思うのはオタク、しまったバレたと思うのはプロのアーティストである。

#303

イヌが西向きゃ尾わあ、こんばんは』(古い諺と朔太郎のあり得ないコラボ)

#302

ひとのフリ見て我がフリ直せとはいうが、鏡がなけりゃ自分のフリがどんな具合になってるかはわからんわな。鏡がなくても自分のフリがわかるようなら、ひとのフリ見る必要はないはずだ。結論。ひとのフリみて我がフリ直す前に鏡を準備しろ。もっとも鏡が準備…

#301

『サザエさん』エンディング曲『ハイキング』(というタイトルがついてること自体つい先日まで知らんかった)って、地味に名曲だよね。アレンジがかなり素晴らしいし、録音もまたかなりのハイレベル。バスドラムのナチュラルリバーブとか、エレキギターの張…

#300

そもそも美的感覚なんてものは感覚としては奇形に類するものであって、そんなものに囚われていたらどう考えたっていつかは生き物として大失敗するに違いないのだ。しかし同時に人間という存在としては美的感覚の欠如は実に淋しいことであって、それ自体が人…

#299

最近、アタマ悪いやつがそれに気づかず場を仕切ろうと調子にのっている姿を見ると、腹立たしいとか呆れるとか情けなくなるとかよりもひたすらダルくなってきて「ああ早く家に帰って眠りてえ」と感じるようになっちゃったです。

#298

どんな創造物も――実用品であれ趣味の品であれ、形而上的なものであれ形而下的なものであれ――実作に入る前はすべて傑作だ。しかしそれが創造者の手を経て他者にわかるかたちをなしたあとには、ほとんどが傑作ではなくなってしまう。それを傑作たらしめるのは…

#297

好奇心は劇薬に似ている。どちらも適切な量を適切な時に用いればまたとない効果を期待できるが、そうでなければ時として命を奪うこともある。

#296

ルパンよりは次元が好きで、でも実は銭形の方がもっと好きだった。ハヤタよりもアラシよりもイデが好きだった。当然ビルボよりトーリンよりバーリンが好きだ。多分、自分が大将の器じゃないからなんだろう。

#295

最近改めて兼好法師のイヤミっぷりにシンパシーを抱く。173段なんかちくしょーめと思うほどイイ。「片田舎の人こそ、色濃くよろづはもて興ずれ。花のもとには、ねぢより立ちより、あからめもせずまもりて、酒飮み、連歌して、はては大きなる枝、心なく折り取…

#294

無駄を削ぎ落す作業はそれほど簡単じゃないんだ。対象の大切な部分を、確実に見極めなきゃならないんだからね。だがそれに気づかず、ただ単純化すればいいと思っている連中は少なくない。見当外れにあっちこっちを落としてボロボロになっちまったものどもに…

#293

問い:バカは死ななきゃ治らない説とバカは死んでも治らない説、どちらを信じたらよいでしょう? 答え:そんなことを考えるより、あなた自身のやるべきことをやりたまえ。どの道やつらは生きている限りバカなんだし、である以上はわずかでもそんなことにこっ…

#292

ピアニストの菊池洋子ってすごいね。一曲の中に含まれるすべての音ひとつひとつについてその役割と意味を吟味し与えるべき表情を決定する、ここまでは一流といわれる演奏家は大概やっているわけだが、それをすべて演奏で実現するのは至難の業だ。でも彼女に…

#291

実に残念なことではあるが、我々の想像力はかなり貧しい。我々は、十年後の自分自身の心持ちを正確に思い描くことすらできないのだ。だがだからといって想像を放棄してはいけない。世界には経験不能なことがいくらでもあり、それを自分へ引き寄せるには想像…

#290

自分のための料理はてきとーで、どうかすると半月前の冷凍ご飯にバーゲンセールのウインナーソーセージを二本ボイルして添えてオシマイ、なんてこともある。だがひとのために作るとなると気合いが違うね。食事の三時間前から厨房に立ち、冷し中華ひと皿を作…

#289

インターネットのおかげで、部屋に座していてもある程度は世界の知識を得ることができる。一方アクティブに外を歩き回っていても、自由な目でものを観ることができなければ世界どころか隣人の顔すら知ることができない。室内派と屋外派、どちらも不完全であ…

#288

実用性を突き詰めた先にある機能美の対極に、無駄の美がある。たとえばティーカップの鮮やかな装飾紋様などは、茶を飲むという行為自体にまったく関係がなく、けれど美しい。こういうのが無駄の美だ。だが無駄の美は無用の美ではない。茶を飲むという行為に…