かどいの『I'm in Rock!-Ⅱ』

ある文筆業者(分泌業者ではない)の生存証明。基本的に毎日更新。

2012-01-01から1ヶ月間の記事一覧

#142

環境に狭苦しさを感じ、より広い環境を求めて移動する。それが成長の基本形であり、それを繰り返すことでひとは変わり続ける。その第一歩は間違いなく出生であって、胎児もまたより広い環境を求めて自ら子宮を脱する者、成長を求める者なのだ。

#141

主観的であること自体は、別に悪いことじゃあないんだ。それが主観的だと気づかないことが、悪いことなんだ……って、そういう展開はもう飽きてきたかな?

#140

いつ、どんなものと、どんな風に出会うかは、かなり大きな問題だ。なにしろ、ほとんどのものには旬があるものの、その旬はそれを受け取るひとの事情で変わるからだ。同じものが、受け取るひとによって大きくその価値を変えるのは、そのもののせいじゃない。…

#139

価値は移動によって生ずる――それを発見した誰かは、まさかその後、その発見のおかげで人類の不幸が加速するとは思わなかったことだろう。もっとも、発見とはよくいったもので、あらゆることはすでに存在することに気づく、つまりそれだと見出すことに他なら…

#138

思いがけない事態など、そうそう出来するものではない。もし思いがけないことが立て続けに起きたとしたら、それはそもそも“思いがける”という行為が足りなかったか、それともよほどの強運に恵まれているかのどちらかだ。そしてほとんどの場合は、後者ではな…

#137

右見て、左見て、もう一度右を見て、上見て下見て、目眩してうずくまる。まあ自分の人生ってのは、その繰り返しみたいなもんだね。それでけっこう楽しんでる。それ以外ってのをどうしても欲しいと思うひとの気持ちは、もうひとつ理解しきれない。

#136

『世界を回すことよりも、独楽を回す方が楽しい』――まるで悟った台詞に聞こえるが、独楽がひとつの世界でないと誰に断定できる? 要するに同じってことさ、全然悟っちゃいない。どころか、ちょっとうまいこと言った気分になっている分だけ、始末が悪い。

#135

思考の物差しの縮尺設定は重要な課題のひとつだ。マクロに設定すればあらゆることが無意味になるし、ミクロに設定すればあらゆることが気に食わなくなる。基本的には場面ごとに縮尺を変えるわけだが、どの場面にどの縮尺の物差しを適用するかは大問題だ。場…

#134

力への憧憬は、自身の生を自身の手で積極的に繋ごうとするからこそ生まれるものだ。だが時に、力への憧憬を野蛮なものとして否定する者がある。そういう者どもの傲慢さには、目眩を感じる。彼らは自身の生を自身の手を汚さずに繋いでいて、かつそれに気づい…

#133

コロンブスの卵って、あれ、ズルいよね。条件提示に不備がある。ベニスの商人の話もズルい。常識を無視した屁理屈だ。それに比べると、三方一両損は実にすっきりした、真正直な考え方だと思うんだ。でも多分、欧米人に三方一両損の話をしたら、「なぜ損をし…

#132

美はしばしば思いがけないところにある。以前、使い捨てライターの口金の板金部品の美しさに、ため息が漏れたことがある。曲げ加工のアールも表面処理も、実に見事なものだった。その時激しい敗北感を覚えたことを、今も鮮明に憶えている。

#131

性をけがらわしいものとして眉を顰める人々は、自身がけがらわしい性しか経験していないのだろう。哀れなものだね、実に。

#130

パンがなければ、ご飯を食べればいいじゃない。パスタもあるよ。(打ち首確定)

#129

まだ青年といえた頃、友人が穏やかな笑顔を浮かべて言った。 「どうしても勝てない相手って、必ずいるよね。そういう相手と向き合うことになったら、僕は、無理に戦って負けるより、逃げてしまおうと思うんだ。でも、背中を向けて一目散には逃げたくないんだ…

#128

19世紀末から20世紀初頭にかけてのアメリカは、国民個々の技術レベルが実はそれほど高くなかった。ゆえに設計段階からの生産工程の抜本的な効率化の必要があり、それを図ることができたから、工業先進国になれたんだな。一方、たとえばドイツは、個々の技術…

#127

敗北を知らない者は幸せだ。自身の弱さと向き合わずに済む。自身の弱さと向き合うことは、なににも勝る責め苦なんだからね。世の中、知らずに済めばそれにこしたことはないものが、少なからずある。自身の弱さとの直面は、そのひとつに数え上げていいものだ。

#126

敗北を知る者は幸せだ。敗者でいるうちは次回の勝利を夢見ることができるし、後の機会に勝利を得た時には、その嬉しさを、過去の敗北が何倍にも膨らませてくれる。それは、勝利しか知らない者には感じ得ないものだ。

#125

若いうちには気づかなかったが、ほとんどの欲望には限界があるようだ。ところがいくつか、欲望の尽きない対象がある。そういう対象に対する欲望そのものが、おそらく自分の適性というものなのだろう。だから、若いうちに自分の適性を見極めるのは難しい。か…

#124

デジタルハイビジョンの大型フラット画面TVで『はなかっぱ』とか『おじゃる丸』を見ていると、得もいわれぬ罪悪感を覚え始めるのはなぜだ。

#123

いつもカウントダウンの途中にいる。さっきワンが聞こえた気がする、でもまだゼロはこない。あるいはそのワンは聞き間違えで、ゼロはまだまだ遠いのかもしれない。それとももしかしたら、とっくにゼロは通りすぎてしまったのかもしれない。

#122

「俺は勝てる喧嘩しか仕掛けない」と言ったら、それは卑怯だと言われた。すると、勝つ目算も建たない喧嘩を売ることが正々堂々としたことなんだろうか。それって単にバカな喧嘩好きってことなのではなかろうか。

#121

いつでもできると思えることほど、できる時が限られている。なかなかできそうにないと思えることは、十中八九なかなかできない。つまりどの道、できることは少ないってことだ。だから、できることはできるうちにするのが得策だ。でも人倫に悖ることに手を出…

#120

視点は常に複数あるが、だからといって個々が複数の視点を得る必要はない。複数あるということさえ知っていれば、それで充分だ。だが残念ながら、それすら実現していないのが実状だ。

#119

こどもの頃には、おとなにはおとなの世界があって、こどもである自分たちが日々やっている“ごっこ”とは違う、“ほんもの”がいろいろあるのだろうと思っていた。気がついたら、おとなといわれる齢をとうに通り越している。けれど自分自身は、こどもの頃とあま…

#118

目標は思いっきり具体的か、逆にとことん抽象的に建てるのがいい。なぜって、目標とは最低でもふたつの効果が期待できるものだからだ。その効果のひとつは達成による快感、もうひとつは追いかける充実感。達成の快感が得たければ目標は具体的でなければなら…

#117

「女は殴らない」っての、立派な女性サベツだと思うんだが、どうか。

#116

結局は伝達スキルの問題に落ち着くってことだ。どんなに崇高なものを備えていたとしても、それが他者に伝えられなければ存在しないのと同じ。だからスキルを身につけ、磨くのがいい。そうすれば、もし伝えるべきものがなかったとしても、少なくともそのスキ…

#115

病院で処方されたPL顆粒よりも薬屋で買ってきたパブロンゴールドA錠の方が効くってのはいったいどういうことだ?

#114

調子のいい時、ひとはたいがい傲慢になる。それは当然のことなので、殊更に指弾すべきものでもない。そしてもし指弾したとしても、相手は調子がいいのだから、それに貸す耳などもってはいない。結局、調子が悪くなることだけが有効な指弾となるが、その時に…

映画『ワイルド7』観てきた【① 総論】

もう去年の話になっちゃいますが、封切り翌日の12月22日、平日にもかかわらず、また風邪ひきの家人がそれでも普段通りに出勤しているにもかかわらず、観てきちゃいましたよ『ワイルド7』。極道者といわばいえ。人生には譲れない瞬間があるのだ。あるのだった…