かどいの『I'm in Rock!-Ⅱ』

ある文筆業者(分泌業者ではない)の生存証明。基本的に毎日更新。

#346

 身についた知識の総量がある線を越えたひとは、知識の量と感受性の豊かさがほぼ比例している。そもそも膨大な知識を自身のものとして管理維持するには、知識に対する相応以上の思い入れが必要であり、そしてその思い入れはほぼ例外なく感受性に由来するものなのだ。つまり、豊かな感受性の結果として膨大な知識がもたらされているのである。この事情に関しては、逆もまた成立する例が多い。つまり、知識の疎い者は感受性も疎いのだ。「知識は薄弱だが感受性は豊か」という個性は、それが話題として成立すること自体が示す通り稀である。知識が薄弱な者の多くの個性として顕著なものは感受性ではなく、動物的な感情の起伏の激しさや、その制御能力の脆弱さである。(−20)