かどいの『I'm in Rock!-Ⅱ』

ある文筆業者(分泌業者ではない)の生存証明。基本的に毎日更新。

#12

 昔の“いじめっこ”は、限度を弁えていた気がする。これ以上はヤバいという線に届かないスレスレのところで“いじめ”を嗜んでいた。パワーの扱い方を、それなりに心得ていたわけだ。まあ狡猾といえば狡猾なわけで、それがいいという話ではもちろんないんだけれどね。一方、“いじめられっこ”の方には、そういう線に対する意識がむしろなく、長じて以降に何らかのパワーを得ると際限なくそれを行使する傾向が強い。おとなになった元“いじめっこ”は、こどもの頃と同じように、相手を完膚なきまでに叩きのめすことはしないが、元“いじめられっこ”はそれをするんだな。というか、できちゃうんだ。だからだろうか、かつての“いじめっこ”は、社会的にはあまり成功しない例が多く、一方いわゆる成功者には元“いじめられっこ”が多いようだ。然り、社会的成功ってのは手加減なしの方がうまく運ぶものらしい。もっとも最近は、“いじめっこ”も限度を知らないっぽいけどな。これはいいことではない、間違いなく。