かどいの『I'm in Rock!-Ⅱ』

ある文筆業者(分泌業者ではない)の生存証明。基本的に毎日更新。

#44

 クサンチッペの例をひくまでもなく女性は一般的に社会に対して無関心で、社会的ルールについても(しばしば反社会的とすら感じられるほどに)ルーズである。では女性に社会性がないのかというとさにあらず、公園デビューやPTA役員会、職場のお局さま制度などに顕在化する通りむしろ積極的な功名心やナワバリ意識は強烈なのだ。これがなぜかといえば、いわゆる社会が男性により男性にとって都合のよいように構築されたものであるから……ではなく、どうやら全体の規模によるものらしい。つまり、その公園の常連である者たちであるとか、その学校、あるいはその町会といった規模においては大変にアクティブだが、区・市・国・世界といった規模になると途端に彼女たちの興味は失せてしまうのである。ようするに彼女たちは、自身の維持・確保に直接関係のある範囲においてのみアクティブなのだ。彼女たちの認識する“社会”とは、自身を(自身の望むように)保全するために必要な範囲のことであり、それ以上でもそれ以下でもないのである。もしかするとそれは、必要以上に広い範囲を認識したがる男性という存在よりも、よほど地球に優しく実利的な傾向なのかもしれない。もっとも何にでも例外はあるもので、一般的な女性よりずっと狭い範囲でしか社会を認識できない男性は意外に少なくないし、逆に一般的な男性よりよほどグローバルに世界を見渡している(それでありながらそれを敢えて主張しない賢さも備えた)女性も時たま見つけられる。そういうばらつきが出るところが、人間という種のおもしろいところともいえる。