かどいの『I'm in Rock!-Ⅱ』

ある文筆業者(分泌業者ではない)の生存証明。基本的に毎日更新。

#173

 こどもにヒーローキャラクターを創造させると、臆面もなく最強無敵の設定を押し出してきて、ああそれが人間の根本的な欲求なのかと改めて納得する。ウルトラマンのカラータイマーとか仮面ライダーの密室とかスーパーマンクリプトナイトとか、そういうものはなべて物語にめりはりをつけるための手段なのであって、根本にある欲求をひとひねりして楽しむための、いわばおとなの調味料――たとえばワサビのような――なのだ。そういうものを望まず、いきなり最強無敵を求めるところに、こどもの純真さと脆弱さを感じる。それは羨ましいものであり、また哀れなところでもあると感じる。そしておとなの欲望が、こどもに比べいかに業の深いものであるかもまた、強く感じる。