かどいの『I'm in Rock!-Ⅱ』

ある文筆業者(分泌業者ではない)の生存証明。基本的に毎日更新。

#192

 久々に映画版『デスノート』を観直したんだが、あのラストはやっぱ反則つうか、もっと具体的にいえばあれはLじゃないと思うんだよな。そもそもデスノは正義と悪の対決物語じゃなくて、強いていうならカオスとコスモスの対決なんだけど、Lってのはカオスの代表者なわけだよね。だからむしろLは手段は選ばない。手段を選ばないから映画版のラストがあるんだろうというひともいるだろうが、いや、Lであってカオスであるからこそ、あのラストはないよやっぱり。だってね、いかに月を潰すためとはいえ、Lがそもそも自身を放棄するような真似をするだろうかね? しないよ、Lは。勝って総取りがLの作法だろ。自分がなにかを失って勝つ、なんてやり方はLらしくない。姑息だろうが卑怯だろうが、全面的に勝たなきゃ満足しないのがLって人間だと思うんだよ。だからあのラストはない。もっともそれをいっちゃったら、スピンオフの映画もなくなるわけだけどさ。ああでも、松山ケンイチはすごくいいと思うよ。Lを名乗るにはちょっとばかり老け過ぎの感もあるけど、それでも与えられたポジションをものすごくよく理解して演じてくれたのだと思う。もしL役が彼じゃなかったら、オレはもっとこっぴどい感想しかあの映画には抱かなかったろうな。まあどっちにしても、あの映画のLはLじゃない、ってところは動かないけどね。