かどいの『I'm in Rock!-Ⅱ』

ある文筆業者(分泌業者ではない)の生存証明。基本的に毎日更新。

#247

 たとえ話というものは一見まったく異なる複数の事象の中に共通するかたちを見つけ提示するというものだから、それができるひとはひとつの事象に複数の要素を見つけ出す能力があるということになる。ゆえにたとえ話の巧みなひとは、ひとつの事象からいくつもの収穫を得ることができる場合が多い。一方、ひとつの事象をひとつの事象としてしか扱えない人は少なくなく、こういう人が経験至上主義に走りがちとなり、経験に依らずさまざまなことを得ることのできるひとを理解できずに「頭でっかち」などと蔑んだりするのである。当然ながらそれはまったくの的外れであって、むしろ自身の能力の低さを公言しているに等しい。それはかなり恥ずかしいことなのだが、そういう人はやはりそれに気づかないため、周囲の失笑をかう結果となる……のだが、本人はそれにすら気づかないので、けっこう幸せっぽい。ちょっと羨ましいかもだ。