かどいの『I'm in Rock!-Ⅱ』

ある文筆業者(分泌業者ではない)の生存証明。基本的に毎日更新。

#338

 高校生の頃、NHK総合の人形劇『プリンプリン物語』を観ながら、登場人物のひとり“カセイジン”が「む、むむむ……予感がします!」と前置きして語ることのほとんどに「おまえそれ予感じゃねえだろ、普通の論理構築能力があれば誰にでもできる、現状から組み立てた推論に過ぎんだろ」と突っ込んでいた。学校へ行って数人の友人にその話をしたら、「おまえそんなもん観てんのか」とまず感心され、翌週には全員から「うん、確かにあれは推論に過ぎん」と同意してもらえた。ところが先日とある会で『プリンプリン物語』が話題にあがった時、ひとりが「いやーしかし“カセイジン”の予知能力には毎度驚かされたよー」と言い出し、周囲が「そうだねえ、あの能力には憧れたねえ」と賛同の意を表したのだ。彼らの年齢はオレと大差ない。その時、当時の自分の目の曇りに気づくとともに、自分の生きてきた世界がいかに狭かったかを痛感した。