かどいの『I'm in Rock!-Ⅱ』

ある文筆業者(分泌業者ではない)の生存証明。基本的に毎日更新。

#486

 三十五年以上前、酒屋の前で、小学生になったかならないかぐらいの女の子が、蝋石で道路に絵を描きながら歌っていた。よく聞くと、その歌は物語だった。彼女は物語を歌いながら描いていたのだ。物語がどんなものだったかはわからなかったけれど、それは間違いなく彼女の世界そのものだったはずだ。彼女は今なにをしているのだろうと思う。彼女がその物語とどうやって生きていったのだろうと思う。どうかその物語がよいものであるようにと心から思う。