恥知らずが恥を知らないからこそ恥知らずであり得ているなら、恥知らずという語は当の恥知らずに対しては罵りの語として通用しないのである。一方バカは自身がバカであるという認識がないゆえにバカなのであり、バカという概念そのものは凡そもっている場合が多いので、バカという評価はほとんどの場合罵りの語として通用する。無論例外もあって、バカという概念をもたない場合はもちろん、自身の行為がバカなことではないという確たる意識がある場合にもバカの語は罵りの語として通用しない。前者にはバカという概念を学ぶことによる改善の可能性があるが、後者にその余地はない。