かどいの『I'm in Rock!-Ⅱ』

ある文筆業者(分泌業者ではない)の生存証明。基本的に毎日更新。

#632

 だいたいにおいて、ホンモノよりよくできた模型の方に惹かれる。鉄道模型の車輛の中にちっちゃな座席がずらりと並んでいる様子などを見ると、ぞくぞくするような感動と興味を覚える。だがホンモノの車輛には全然興味が湧かないのだ。なぜか? それは模型に実用性がないからではないかと思う。鉄道車輛には運輸という実用性があり、すべてはそのためにつくられている。だが模型は単に製作者(あるいは鑑賞者)の数奇だけが目的であり、そこにはまったく実用性がない。実用性がないのに熱心につくられたものは、つくるという意識のみを内包している。その意識、あるいは熱情ともいえる形而上的な力に心を動かされるのではないかと思っている。