かどいの『I'm in Rock!-Ⅱ』

ある文筆業者(分泌業者ではない)の生存証明。基本的に毎日更新。

#1590

 いや、それは違う。たとえば『バスケットボールをする』は、バスケットボールというひとつの行為を参加者全員で組み立てることで、その最中には全員がバスケットボールという行為を共有し、互いに協力しながら運営している。だが『愛しあう』というのは、愛というひとつの行為を協力して運営し共有することじゃない。少なくともふたつの愛が同時にあるというだけのことで、偶さかその愛の焦点が向き合う互いに当てられていたとしても、そのふたつがひとつの行為なることはないんだ。あくまでも、ひとつの愛とひとつの愛があるというだけだ。それらが交わることはないし、共有されることも協力して運営されることもない。だからこそ、いいかい、『愛しあう』ことには、価値があるんだよ。