#1788
楽しいこともつらいことも、そのイベント自体はたいがいは必ず終わるものだし、終わってしまえばあっという間のことだ。問題はそのあとに残る記憶の方で、その記憶の中でどれだけの時間が感じられているかが事実としてのイベントに加えられてしまう。さらにどれだけイベントが印象的だったかがのちのち思い出す時の動機にもなる。結果的に、記憶の構成者の個性によってイベントの意義が変わってしまったり、また過去を振り返った時にどちらがどれだけあったかのリストアップの結果を変えたりする。世の中には楽しく生きるひととつらく生きるひとがあるが、楽しく生きるひとは楽しい記憶と仲がよく、つらく生きるひとはつらい記憶と仲がよいだけなのだ。