かどいの『I'm in Rock!-Ⅱ』

ある文筆業者(分泌業者ではない)の生存証明。基本的に毎日更新。

#1898

 発想は加算ではなく乗算で膨らむ。乗数の数値は参加者のもつ材料の量で、これが少なくとも人数分繰り返されることになる。参加者がひとりの場合は、そのひとりがもつ材料を分割して乗算をおこなう。複数人が参加する場合でも、各々の材料の分割は有効だ。参加者の人数にかかわらず各々の材料が一しかなければ、発想もどうがんばったところで一にとどまる。一方、実制作は減算で、膨らんだ発想をどれだけ削り込むかの作業になる。千を越える発想が揃っても作品に充てられる尺が百だったら、九百を削り落とさなければならない。作品の出来映えは削り落とした量にほぼ比例して上がる。尺が百なのに一しか発想がなければ、当然ながら残り九十九は余白となり“そういう作品”ができあがる。