かどいの『I'm in Rock!-Ⅱ』

ある文筆業者(分泌業者ではない)の生存証明。基本的に毎日更新。

#2083

 虚無っていうのは、なにもないってことじゃあないんだ。むしろなんでもアリだ。たとえばそれは、信じるという概念を知っているが信じるものをもたない、信じる自分ってものさえ信じないってことだ。かといって疑っているわけじゃない、疑うのだって疑う自分がいるからできることなんだからね。もちろん上辺で信じるフリも疑うフリもできるし、ふと自分が信じているようだと感じる時だってある。だが根本的にはそれらにまったく意義を感じないし、自分がなにかを信じた気がしても、そんなものはたかがひと時、長くても数十年の気まぐれだと思っている上、気まぐれだと思うことさえ気まぐれで、芯がないことを知っている。そしてその知だけは事実だと知っている。それが虚無だよ。この世で一番おそろしいものだよ。