#2523

　こころが惨めになるようなことは本来してはいけないのだが、こころに惨めなことをする人はそもそも惨めの概念をもっていないか履き違えているので、むしろ積極的にこころを惨めにしてしまう。当然こころは蝕まれ続けるものの、当人にはまずたいがい自覚がなく、周囲がその毒に当てられることになる。これという覚えがないのに自分のこころが弱ってきていると思ったら、周囲の毒を検めてみるとよい。そこにはおそらく、こころの惨めを知らないままその陥穽に嵌まっている者がいるはずだ。