かどいの『I'm in Rock!-Ⅱ』

ある文筆業者(分泌業者ではない)の生存証明。基本的に毎日更新。

#64

 アタマの悪いヤツってのは、考えることのできないヤツのことだ。で、考えることができないってことには、いくつかの事情がある。考えるってのはものごとを積み重ねてゆくことに似ていて、だからアタマの中の天井が低いヤツはいっぱいのものごとを積み上げられず、すぐ天井に届いちゃって、そこで考えが止まる。積み重ねるものごとの山をいくつもつくって、その頂同士を繋ぎ合わせて……ってのも考え方の基本的なスタイルのひとつだが、アタマの中の面積が狭いヤツはそんなに多くの山をつくれない。積み重ねるべき材料をそれほどもっていないヤツ、つまり知識とか情報とかが足らないヤツは、天井の高さや部屋の広さに余裕があっても、そもそも積み上げること自体ができない。積み重ねるべきものごと同士をどう組み合わせるか、どんなかたちに積み上げるかも条件のひとつなんだが、これには美的センスがかかわってくる。どんな積み上げ方を美しいと感じるか、ってことだね。それは必ずしも物理的な安定に基づくものではなく、時にアクロバティックなかたちが美しくなることもある。その美しさを感じ取れるかどうかもまた、アタマの良し悪しの条件のひとつだってことだ。……で、アタマの悪いヤツってのは、こういう話を全然理解できなかったりするんだな。アタマの悪い所以だ。