かどいの『I'm in Rock!-Ⅱ』

ある文筆業者(分泌業者ではない)の生存証明。基本的に毎日更新。

#132

 戦士とは、戦に赴く者のことである。戦とは単なる闘いではなく、基本的に命をやりとりする闘いのことであり、またその目的は勝敗を決することである。従ってひとたび戦に身を投じれば、闘士は相手との殺し合いをおこなわなければならず、そしてそれは当然どちらかの死によって決着する。それが戦場(いくさば)の理なのだ。だから戦士を自認する者であれば、戦場での自身の死はそもそも折り込み済みの結果のひとつとなる。時に比喩として戦士ということばが、殺し合いをしない(するべきでない)場での争いに加わる者に使われる場合があるが、それはその争いがそれだけ熾烈であることを示しているのであり、決してその争いに加わる者が自身の死をその争いにおいて容認しているという意味ではない。あくまでも比喩に過ぎないのだ。従ってそういった戦士は、正確には戦士ではない。戦士であるべきではない。むしろ戦士であってはならない。繰り返すが、戦士とは自身と相手との命のやりとりを以て旨とする存在だからだ。――今回の問題は、そういう者、戦士であってはならない者の命が利用され失われたところにある。失われた命の主を戦士と呼んでしまうと、死は折り込み済みのものになってしまうのだ。その辺の区別をきちんとつけてもらわないことには、殺された者にもその遺族にも失礼が過ぎるというものだ。繰り返す。失われるべきでない命、戦士でない者の命が失われたことが問題なのだ。ここだけは絶対に譲れない。