かどいの『I'm in Rock!-Ⅱ』

ある文筆業者(分泌業者ではない)の生存証明。基本的に毎日更新。

#224

 私は君に智慧を与えた積りだつた。その智慧とは即ち、結論は常に複数あつてひとつを選べば必ず相反する結論と対峙し続けなければならないといふ則であり、また自身が選ぶ結論は自身の有り様に因つてのみ支持されるといふことであつた。しかし君はそれをどこかで受け取り違えたらしい。君は自身が選んだ結論により他の結論は排除され得ると考え、また自身の選んだ結論こそが自身を支持するものだと考えるようになつてしまつたやうだ。逆なのだよ。全く逆なのだ。結論は決して君を支えてはくれないし、ひとつの結論は常に他の結論から攻撃され続けるのだ。あくまでも中心に在るのは君自身でなければならないのに、君は自身をそこから遠ざけることに因つて自身を維持しやうとして居る。それでは何も得られはしないのだよ。何処へも辿り着けはしないのだ。