#312

　思いつきで起こした行動はたいがい後悔に結びつくが、熟考ののちに起こした行動が後悔に結びつかないとは限らない。もちろん後悔のかたちや大きさはそれぞれに異なるし、思いつき行動の後悔が必ず熟考行動の後悔に勝るというものでもない。それでは行動を起こせないではないかと思う向きもあろうが、要するに自分が後悔してもかまわないと思える方法を選択して行動すればよいだけなのであって、つまり後悔は行動の抑止力にはならないのだ。だから人間は種としても個としても何年何百年の時を経ようが失敗を繰り返し続けているのである。