#940
争いごとには、優勢であれ劣勢であれ止め時ひけ時、潮時ってもんがあるんだよね。
それは争いあう者同士の無言の駆け引きで決まる。できるだけ互いに利益も損失も大きくなり過ぎないところでやめるわけだ。
ところが争いごとの経験の少ない者は、とことん叩きのめすのが勝利だと勘違いしている。どんなにがんばっても、とことんなんてのがあり得ないことを理解できていないんだ。
それが一対一の争いで、相手を殺したとしても、とことんの勝利にはならないんだね。そこまでやってしまうと、どこか思いがけないところから、必ず報復の手が伸びてくる。
争いの経験の少ない者、争いをちゃんと考える知恵と情報をもたない者は、それが理解できていない。それで、ひどいところまで争いを進めてしまう。で結局、報復を受けることになるんだな。
ちゃんと間合いが測れていれば、報復は起きないんだよ。
たとえ相手をやり込めるのが巧かったとしても、その間合いが測れなければ争い下手だ。いずれ必ずしっぺ返しをくらう。
ところが困ったことに、そういう争い下手は、その原因が自分の経験不足にあることがわからない。だからまた報復に走っちゃうんだな。おかげで要らない争いが延々と続くことになる。
そういう相手とはことを構えない方がいいねえ。