#976

　才人がおこなっている時、凡人は見ていることしかできないし、それ以外をするべきでもない。ただ問題なのは、それを判断できるのは──あるひとが才人であり自分が凡人であるとわかって行動を抑制できるのは、凡人であれわずかなりとも才のあるひと、つまりちょっとした才人だけだということだ。その道について本当に才のない凡人には、自分に才がないことすらわからない。結局そういう凡人が手出しをすることで、才人のおこないはしばしば遮られ時として喪なわれすらするのである。