かどいの『I'm in Rock!-Ⅱ』

ある文筆業者(分泌業者ではない)の生存証明。基本的に毎日更新。

#1139

 愚かであるか賢くあるか、行動するかしないかの四つの条件を組み合わせると、行動する愚者・しない愚者、行動する賢者・しない賢者という四種の人間を設定できる。この四種の中で、行動する賢者がおそらく最も意義ある存在だ。次いで行動しない愚者、行動する愚者と続き、行動しない賢者は最も無意味な存在となる。一方、行動する賢者は最も危険な存在でもある。彼らは行動の有無にかかわらず愚者を手易く手の内へ引き込む能力を備えているからだ。行動しない賢者の叡智がする賢者のそれを凌駕していたとしても、圧倒的多数にのぼる愚者を手なずけた者には抗えないし、そもそも行動がなければ抗いようもなく、また愚者を取り込んだのちに抗おうとしても手遅れでしかない。たとえ行動しない賢者が人口の六割を越えていても、一旦ことが流れ始めてしまえばそれを押さえることはできないのだ。