レベルの異なる者たちは本来話が噛み合わないが、かつては通じないわけがないという根拠のない信念を互いに抱いていたため奇跡的にもやりとりが成立していた。今は違う。レベルの差異の存在を、主に高い側の者が知ってしまった。そのため異なるレベルの者を相手にきちんとした話はしないという作法のようなものが生じている。低レベルの側は、そもそもレベル差に気づけないので、そうした作法が自分に対しおこなわれていることに気づくこともない。かくてレベル差はますます(高レベルの者にとって)厳然たるものになってゆき、低レベルの者はどんどん切り捨てられる時代となったのである。