かどいの『I'm in Rock!-Ⅱ』

ある文筆業者(分泌業者ではない)の生存証明。基本的に毎日更新。

#331

 たとえば「月と鼈」という諺が嫌いだ。これが単に、「一見はどちらも丸いが、全然違うものである」というだけの意味であれば構わないのだが、通常はそこに価値の差を見出し、良いもの=月、大したことのないもの=鼈、という格差を付与している。月は月、鼈は鼈であって、そもそも丸い点以外に共通項もないのだから、格差なんかつけようがないじゃないか。いや世間には、「夜に光るしか能のない月より、食ったら美味な鼈の方がよい」という価値観のもち主だっているはずだ。そういう価値観もまとめて「月と鼈」という諺は侮蔑の対象としているのである。ゆえに自分は、この諺が嫌いなのだ……って、また長いじゃんかよう。しかも内容はただの言いがかりもいいところだ。名言どころじゃねえ。自己批判しろ自己批判