かどいの『I'm in Rock!-Ⅱ』

ある文筆業者(分泌業者ではない)の生存証明。基本的に毎日更新。

#330

 たとえば「運動は苦手だが、計算は得意だ」といった言い回しが嫌いだ。なんの関係もない「運動」と「計算」が、「だが」で強引に繋げられているように見えるところが嫌いだ。もちろんこの構文は本来「苦手←→得意」という関係性から生じたものであって、「運動」と「計算」を関連づけるものではないのだが、この言い回しを使う者は、まず例外なく「運動」と「計算」を関連づけたがっている。つまり、自身の不得手を別のなにかで補おうとしているわけだ。しかし、不得手は不得手、得手は得手であって、それぞれはそもそも独立したものであり、得手があるから不得手を帳消しにできるというものではない。得手があるなら、それだけを誇りをもって主張すればいいではないか。それで充分に自己は成立する。つまり自分は、得手で不得手を穴埋めしようとする根性が嫌いなのである。つかこれのどこが名言? ただの短めの主張じゃね?