かどいの『I'm in Rock!-Ⅱ』

ある文筆業者(分泌業者ではない)の生存証明。基本的に毎日更新。

#287

 自分の手にあるさまざまな物品のうち、純然たる“自分のもの”――その処遇を自分の意思ひとつで決められるものは、ごくわずかなんだ。ほとんどは「今は自分の手にあるけれどそれは経過点に過ぎず、いずれ別の誰かの手に渡って改めて役に立つもの」なんだよ。少なくとも自分はそういう点も視野に入れながらさまざまな物品を手に入れている。そして、いつか訪れる譲渡の日のために、できるだけその物品のコンディションを整えておこうとしている。一年間使わなかったから捨てるとか、一生その品とつきあえるかどうかとか、くだらん考え方だ。狭いのさ。結局それは消費を前提にした考え方に過ぎない。物とのつきあい方が根本的に違うんだ。