かどいの『I'm in Rock!-Ⅱ』

ある文筆業者(分泌業者ではない)の生存証明。基本的に毎日更新。

【Ringo the Wight/#4-15】

(承前)




――行っちゃうの?
 ――ああ。そういう約束をしちゃったからね。明日が期限なんだ。
――そっか。そうなのか。……あのさ、俺さ、頑張るよ。この街、なんとかしようと思うんだ。みんなを、どうにかしたい。今のままじゃ、みんなつらいもんな。
 ――それがいい。きっとできる。きっと、ね。
――これ、返すよ。ジャケット。大事なものなんだろう?
 ――いや、いい。あげるよ。持っていてくれ。キミにはそれを着る資格がある。いや、キミにこそ、それは着ていてもらいたい。
――じゃあ……預かっとく。あんたのことを忘れないためにもね。でも、あんたは俺のこと、忘れるんだろうね。なにしろ長い、長い命だもんな。あんたの一生にすれば、俺とのことなんか、本当に一瞬のことなんだろうからな。
 ――そんなことはないさ。俺は、忘れない。キミのことは忘れない。俺は今、生きている。そして生きている限り、キミのことを忘れない。てことは、俺が生きてる限り、キミも生き続けるってことさ。永遠に、だ。
――永遠、か。嘘臭い言葉だけど、あんたが言うと本当に聞こえるよ。……なんとなく、信じてみたくなるよ、永遠ってのを、さ。
 ――そうだろう。だって俺たちはなにしろ、友達だからな。初めて出会った時からの……。




(了)