かどいの『I'm in Rock!-Ⅱ』

ある文筆業者(分泌業者ではない)の生存証明。基本的に毎日更新。

#617

 愛情というものは基本的にほとんど生理的な発露をみるものであって、たとえば汗のように、本人の意図で発するか否かを簡単に操れる類のものではない。もちろん中には訓練を経て意識的に発汗を制御できるようになる者もあり、同様に愛情にも意識的に操作できるようになる部分がある。だがそういった愛情は、汗が本来は状況に応じた必然性に従って分泌されるべきもので、それ以外の場面では発汗する当人にとっては本義的に無意味なものにしかならないように、周囲にあって愛情の恩恵を受ける者には好都合かもしれないが、その愛情を発揮しようとする当人にはなんの意味ももたない。