かどいの『I'm in Rock!-Ⅱ』

ある文筆業者(分泌業者ではない)の生存証明。基本的に毎日更新。

#2658

 少なくとも感受性において、こどもがこどもゆえにおとな(とされる人々、以下同)に勝るものを備えているということはない。同様に、おとながおとなゆえにこどもに勝る部分もない。もしこどもに『秀でた発言』があったのなら、それはその発言を秀でたものと判断した者に事情がある。ただしそれは必ずしも讃えられるべき事情とは限らず、鈍麻した感受性を偶さかにして刺激されたものであったり、あるいは発想のそもそもの貧しさが反映したものであったりするのである。然り、それら秀でた発言はすべて個性に因るものであって年齢に因るものではなく、そして個性において年齢はさして意味を備えない。こどもならではの自由な発想などという戯言は、知識を得て知識に判断を預けたゆえに自らの感受性に封をした者の弁解に等しく、しかしその封に気づいた点において、その者は、そもそも備える個性にこどものそれと共鳴する何かを備えているということなのである。