かどいの『I'm in Rock!-Ⅱ』

ある文筆業者(分泌業者ではない)の生存証明。基本的に毎日更新。

#102

 記憶はすべて同一平面上にある。十年前の記憶もついさっきの記憶も、すでに過ぎた時の中にあるという点では等しいんだ。時間の流れとともに変化したもの――たとえば恋人との関係のあり方なんてものも、そうだ。成就の充実も破綻の悲嘆も、記憶としては同一平面上にあるのさ。そしてそれらは、だから、自由に取り出せるし自由にしまいこめる。記憶になった時点で――ということは今この瞬間を通りすぎた時点で、すべては同じ瞬間のことと捉えても間違いじゃあないってことだ。個々の中では、ね。