かどいの『I'm in Rock!-Ⅱ』

ある文筆業者(分泌業者ではない)の生存証明。基本的に毎日更新。

#216

藤子不二雄のSF短編に『ノスタル爺』というのがある。自身の過去の若さを懐かしむあまりとんでもないことをやらかそうとする爺さんの話だが、これって××ジーと名のつくものなら何にでも応用可能なタイトルだよね。
 何かにつけ曖昧でいい加減な爺さんならファ爺。なんでも楽〜にやっちゃおうとする爺さんならイー爺。最近実際に出てきた育児をもっぱらとするのはイク爺、老いてなお新技術の導入に余念がないのはテクノロ爺。空想力豊かなのはファンタ爺だが、これはSF作家の横田順彌が何十年も前に使用済み。老年きわまって何かが爆発しパンクロックに走ったらノイ爺、やる音楽はオイ! ならぬ老い! なんだが、老いパンクというジャンル自体にはこれまた何十年も前に相原コージが言及済み。哀調漂うエレ爺に犬ならベン爺スワラジ運動ガン爺ツインバスドラムがんがん蹴っ飛ばせばコー爺と、もうなんでもアリだ。自分がでは老いたら何爺になりたいかといえば、怠けてなーんもやらないレイ爺でいいや。
 本家藤子氏は、そのなんでもアリ性の危険さに気づいたか、シリーズ化せずにノスタル爺一本で展開は終えたようだ。さすが一流という感じがする。