魔女・美弥 闇狩り【#2 魔法師淫祭祀】-03
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(承前)
男は膝立ちになり、女の割れ目に先端を当てた。女は嬉しそうなため息を吐き、さらに高く臀を掲げた。
だが男は挿し入れず、二度三度と逸物をそこに滑らせて女の粘液を自身にまぶしつけたあと、先端を女の菊座に当てがった。
「あ……今日は、そっちなの?」
女は緊張に一瞬息を詰めた。が、次の瞬間には、不思議なほど簡単に、するりと、あの巨大な逸物が半分ほども女の菊座に収まってしまっていた。
「あぐぅっ……う……あうっ」
女の背が反る。腕が真っ直ぐに張られ、ぶるぶると震えている。
男は挿し入れたまま、微塵も動かない。
だが女は、激しく全身を波うたせ、時には上体を浮かせて両手で空を掻き、もはや声さえも出ないといった有り様になっていた。
まるで胎内を滅茶苦茶に練り廻されてでもいるかのように、女は総身をくねらせている。
「あ、くぅくぅくぅ、はうぅっ。ん、うっ、あっあっあっ、ひぃいっ……んぁう!!」
ひとのものとも思えない声が、女の喉から迸る。男はただ無表情に、相変わらず身じろぎもせず女の腰を握っているだけだ。
ぐるる……。
女の絶叫の間に、そんな音が聞こえた。
女は気づかない。ひたすらに自身の肛口から押し寄せる激甚な快感に浸っている。
だが男は、気づいた。
ぐるりと首を巡らして、周囲を見る。
月の光を跳ね返して、いくつもの獣の目が輝いていた。
その輝きには、明らかに獣たちの歓喜の色が宿っていた。
食事だ。空腹が満たせる。これでまた生が繋げられる。そんな剥き出しの、そしてなんの余分もない歓喜の色だった。そしてそれは、だからこそ手易くは消し止められないであろう力を、その奥に秘めていた。
だが男は動じなかった。それどころか、むしろ嬉しそうな色をその目に浮かべた。
男は、女の腰を掴んだまま立ち上がった。
女がひと際高い声をあげる。女は今や白目を剥き出し、悶絶寸前といった体だ。
と、男のからだに突然の変化が起きた。
脚がぶちぶちと音を立てながらより太さを増す。女を掴んでいる手もまた、見る間にひとのものとは思えない逞しさに膨れあがった。
がくりと開いた口から、湯気を立てて舌が伸び出る。それはだらりと垂れさがり、鎖骨にまで届いて、ゆっくりと左右に揺れた。
鬼。
そう、鬼だった。
角こそなかったが、その姿は絵巻に見る鬼をはっきりと思い出させるものだった。
今にも男たちに飛びかかろうという距離にまで近づいていた山犬どもが、男の威容にぴたりと動きを止めた。
男が再び首を巡らせ、山犬どもを睨む。
犬どもは途端に尾を後足の間に挟み込んだ。
本能的に彼らは悟っていた。これは自分たちが触れてはいけないものだ。それに自分たちは触れようとした。いけない。これ以上は蛮勇ですらない。
声すらもあげず犬どもは、近づいて来た時とは比べ物にならない素早さで逃げ出していた。男は、いや鬼は、犬の態を見て実に嬉しそうな顔になった。
「あ……あ、もう……もう、私……」
女が切れぎれのことばを呟く。
鬼はその時、初めて自ら動いた。
掴み上げた女の腰を、上下といわず左右といわず、恐ろしいまでの勢いで振り廻し始めたのだ。
「あ、わう、ぎゃ、ひいーっ!! あうあう、ぐう、あ、ああーっ」
女が、まさに断末魔とも思える声を全身から放った。
すでに女の爪先は地についていない。ただ菊座で鬼と繋がり、その腰を握られ振り廻されているのだ。
やがて女の声はさらに高まり、一転して今度は弱まっていって、最後にはただ荒い息遣いだけが木々の間を縫った。
どさ、という音とともに、女のからだが筵の上に落とされた。
完全に気を失っている。
だがその顔には、見紛うこともない笑みが貼りつき固まっていた。それは、満足しきった淫蕩な女だけが見せ得る、およそひとのものとも思えない表情だった。
元の姿に戻って、男は、満足げに女のその顔を眺めていた。
そしてぼそりと呟いた。
「明日は久々に、満腹できような。これも御前の働きゆえよ。この程度の褒美、いくらでもくれてやるわ」
その顔にも、冥い笑みが貼りついていた。
翌晩。
山中では、狂おしい宴が繰り広げられていた。
全裸となった男女が互いを追い合い、嬌声をあげながら絡み合っていた。
彼らは麓の村から集まってきた、昨日の見物人たちだった。昨日にはいなかった顔もある。おそらく近隣から呼ばれて来たのだろう。その数、軽く百にも届こうか。少なくとも村の全員がそこにいたことは間違いない。
夕刻、村を訪れたあの女に誘われてこの山中に踏み入った者たちは、中腹にぽっかりと設えられた木々のない広場で、再び新たな奇跡を見せられた。そしてその昂奮が頂点近くに達した時、女にこう命じられたのだ。
「煩悩を吐き出せ。己が中に渦巻く業を、まずすべて吐き出すがよい。そして己れを極めた時こそ、みほとけの救いがもたらされる」
どうやって、と訊ねる声に応え、女は白拍子の装束を脱ぎ捨てた。そして脇に控えていた男とまぐわい始めたのだ。
それが者どもの昂りを、頂点より高くへ押し上げた。
艶かしい声の間に間に、女は呼びかけた。肉の欲を晴らせ、相手は目の前にあるだろう。思うさまに肉を貪り、肉への執着を棄てよ。欲を極めて欲を切れ。
男どもは、そのことばに弾けた。雄叫びをあげながら衣を引き毟り、手近な相手に飛びかかった。女も同じことだった。あるいはこちらの方が激しかったかもしれない。男の手を待たず、やはり自ら衣を脱ぎ捨てて、かかってくる男どもを迎え入れた。
者どもは目に異常な光を湛えて、互いを求め合った。そこは即座に、見境のない野合の舞台となった。
その騒ぎの中心にあって、あの男は、まるきり冷めた顔で周囲を見ていた。
立ったままながら一応、あの女とは後ろから繋がっている。今日は菊座ではなく、真っ当な性器の方だ。しかし男は、その行為自体にさしたる興味はなく、また周囲の狂騒にも大したものは感じていないようだった。ただ冷静に、なにかを探すように周囲を見ている。
女の方は、昨晩にも劣らぬ快楽に溺れたか、早くも獣染みた咆哮を遠慮会釈なく撒き散らしている。
ふと男の目が止まった。
その視線の先には、まだ幼さの残るひとりの娘を、三人がかりで犯そうとしている若者たちの姿があった。
(続く)