かどいの『I'm in Rock!-Ⅱ』

ある文筆業者(分泌業者ではない)の生存証明。基本的に毎日更新。

#691

 おそらくひとにはそれぞれ果たすべき役割があって、当人が認識しているか否かにかかわらず、粛々とそれが遂行されてゆくようにできている。その中で、たまさか自身の役割に気づき積極的におこなえたひとを、幸せ者と呼ぶのだろう。──といった前提に立った上での話だが、その役割に気づき普段はそれを遂行しながら、けれど個人的な事情でどうしてもある特定の人物にはその恩恵をもたらさないことを誓い貫いたとしたら、それは最も激烈な悪意もしくは復讐になるのではあるまいか。そして誰もが実はそれをおこない、またおこなわれているのではあるまいか。