#1690
ひとの動機はたった二種類、「好き」か「嫌い」しかない。どちらでもないものは動機とするには足らない、足らないからどちらでもないのである。そして不器用なことに、どちらを動機にするかをひとは選べない。「好き」で動く者は「好き」でしか動けず、「嫌い」で動く者は「嫌い」でしか動けないのだ。ではどちらが楽しい人生を送れるかといえば、「好き」派は「嫌い」派の楽しさが理解できず、逆もまた同様なので、比較しようがない。各々の動機をどれだけ実現できたかがその尺度になるといえばなるが、中には“実現できないもどかしさが楽しい”などといいだす者もあるので、それも厳密には比較できない。ことほどにひとは個々に孤立した存在なのである。