新・地獄の筐が開く
※関連記事/
『地獄の筐が開く』(2018/02/06)http://d.hatena.ne.jp/st79/20180206/1517936141
『地獄の筐が開くⅡ』(2018/05/02)http://d.hatena.ne.jp/st79/20180502/1525277184
『地獄より這いいずるもの』(2018/02/07)http://d.hatena.ne.jp/st79/20180207/1518019474
『地獄より這いいずるものⅡ』(2018/02/10)http://d.hatena.ne.jp/st79/20180210/1518275032
息子は順調にゲームを楽しんでいる。
だんだんマリオ(SFC『スーパーマリオワールド』)にもなじんできて、といってもゲーム自体はほとんど俺が進めているのだが(代わりに息子はドーナツ平野の裏道辺りでマリオ増やしに専念し、おとーさんのミスをリカバーしてくれている)、マリオがおもしろいゲームだということは深く理解した模様。
さらに勝手2.5Dを遊び始めた。
といっても、巷間にいう舞台劇の2.5Dとは全然無縁。ゲーム(マリオ)の二次元を、ウルトラマンの人形(三次元)でのごっこ遊びに導入するというもので、とりあえず二次元キャラと三次元ツールの中間で遊んでいるから、これを我が家では勝手に2.5Dと呼称している。
どうやって導入するかというと、紙にマリオやヨッシー、ノコノコの絵を描き、ハサミで切り出し、人形たちと共演させる。これで即興の物語づくりを楽しむ。
スタイルとしてはフィギュアを使ったTTRPGに近く、素材が2Dと3Dということになる。設定はほとんど息子で、キャンペーン制作にはおとーさんが知恵を出す。
最初のプレイなんかすごかったぞ。
ウルトラマンの世界(次元)にマリオが突如現れ、ウルトラマンは戸惑う。なぜならマリオたちには厚みがないからだ。正面から見ると存在するのに、横へまわるといなくなってしまう。なんだこいつらは、という戸惑い。
さらにそこへジュウオウジャーが現れ、見たこともない銀色の巨人たちをこの宇宙を荒らす存在と見做して攻撃開始。ウルトラ陣営、ジュウオウジャー陣営、トリックスター的なマリオキャラという三つ巴で話が展開する。
以上の設定が全部息子だ。
おとーさんはその設定のもとウルトラ陣営を担当し、人形たちに会話を与えつつ事態の展開を図った。
ものすごーくおもしろかった。
さらに息子のゲームへの興味は拡散し、先日は学童保育の教室からマリオのマンガ本を借りてきた。
クイズ形式で、内容や奥付から見るにSFC『スーパーマリオコレクション』が出た当時のものらしい。
これを読み込み、といってもまだ字はひらがな半分カタカナ半分くらいしか憶えていないし、音読して耳から聞いてようやく意味を理解するというレベルではあるが(「マ、リ、オ……マリオか!」という感じね)、本に興味をもってくれることは、これまたおおいにうれしい。どんどん読んでおくれ。
そういうあれこれもあり、だいぶマリオは染み込みつつある模様。
マンガ本に連動させるかたちでFCコンパチ機を出し、黄色いカセットのFCスーパーマリオブラザース(つまり“ほぼ元祖”だ)(しかし残念なことにスーパーのつかないまりオブラザースはもっていないんだよな……)をプレイしてもらったりした。「これが一番最初のスーパーマリオなんだ」とか言いながら勧める父なのだ。
意外だったが、「これは、むずかしいな」と言うものの、音がチャチだとか画像がつまらないとかの感想は言わなかった。
思ったが口にしなかっただけなのかもしれないが、俺としてはグラフィックとかはだいたい飾りと思い、そこばっかりに突っ込むようなのはむしろ歓迎しないゆえ、息子の態度はうれしかった。はい、古い人間でございます。
そんな具合にゲームとなじみつつある息子へ、よせばいいのにおとーさんは言ってしまったのだった。
「マリオの顔を引っ張れるゲームがあるんだよ」
「えっ。どうやって?」
「んー、画面にマリオの顔があって、手がぽいっと浮かび出て、その手でマリオの顔をつまんで引っ張る」
「やりたい! やってみたい!」
「わかった。じゃ、準備しとくから。今日はちょっと我慢して」
「うん!!」
つまりNINTENDO64の『スーパーマリオ64』のことだ。
アレはオープニング待機画面に浮かぶマリオのポリゴン頭で遊べる。説明した通り、鼻やら頬やらを引っ張って伸ばすことができる。それだけでもけっこうおもしろい。
さらにマリオ64、ゲーム本体の操作性も実はSFCマリオよりよかったりする。と思う。
ドット合わせの細かい作業をしなくとも、ただ走ったり跳んだりしているだけでおもしろいし、爽快感がある。けっこう3D酔いするけど。
というわけで。
どーん。
魔窟を堀り、取り出しました。
N64です。
当然マリオ64も出した。
次に息子と会えた時には、マリオ64で遊んでもらう所存。
おとーさんは勘を取り戻すために、昨晩ひとりM64祭りを開催。意外に操作を忘れていない自分にちょっと感心したりした。
どんな反応を見せてくれるかなあ。たのしみだなあ。
で。
マリオ64だけ出してもなんだし……と思って、ついでにシレン2も出した。
目下の問題は、この箱を開けていいかどうかだ。
(いけません絶対にいけません)
それにしても、Switch とかへ手を伸ばさない父親って、世間一般的にはどんなもんなんだろうな。多分あんまりふつうじゃないよな。
先日のこと。
ディスプレイに西日が差して見づらかったので雨戸を閉めようとしたら、たまさか戸外にいたこどもたち(小学校の中学年とおぼしい)が「あっすみません、うるさいですか」なんて畏まってしまった。我が家の前は水路になっていて、この季節はザリガニ釣りの少年少女で賑わうのだ。
それで俺は、
「違う違う。ゲームやるのに外の光がまぶしすぎるんだ。もっとわぁわぁ遊んじゃってかまわないよ、それがキミらの仕事だ」
とか、聞いたふうなことを言ったわけさ。
するとこどもたち、
「ゲーム? なにやってんの? 当ててみようか。Switch!」
なんて言う。
俺は余裕たっぷりでこう答えた。
「ふっふーん。そんな新しいの、やらないよーだ。スーパーファミコンだぜ。すー・ぱー・ふぁみ・こん!」
ガキ未満かw
こどもら、一瞬あっけにとられて曰く「やべぇ……」。
「やべえよ。今、ファミコンって言った」
「それだけでやべえ。ファミコン」
「ファミコンあるのかー」
「スーパーファミコンだよ。ファミコンもあるけどな、ツインファミコンってやつが」(俺)
「わかんないけど、ファミコンはやべえよな」
「うん……」
「やばすぎる……」
その後こどもらがどんな会話を交わしたかは知らない。雨戸閉めてゲーム始めたから。
ただ、彼らの反応が、世間一般ではメジャーなのだろうな、とは思った。
俺、自分のこどもに歪んだ知識を与えてるかな……。