かどいの『I'm in Rock!-Ⅱ』

ある文筆業者(分泌業者ではない)の生存証明。基本的に毎日更新。

『ドラゴンクエストⅤ』(SFC)再プレイ中【1】

 先日、映画『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』で世間が賑わった。

 このところしばらく息子(小二)がゲーム『ドラゴンクエストビルダーズ2』にハマっていたので、イイ感じの作品だったらいっしょに行ってドラクエ世界を感じてもらおうかなぁと思っていたのだが、世間の感想群を見てとりやめた。
 どう好意的に解釈しても、小二の息子に見せたいもんではない。俺が観たいものでもない。your story の意味するであろうところも含め、根本的に狙い目が違うようだ。
 もちろんドラクエをモチーフに“作家”がなにを企てたってかまわない。オフィシャルのOKがあるならなおさらだ。
 一方、観る側だってなにを選ぼうが自由なわけで、よって俺は見ない権利を行使するw こどもについては、いずれ彼自身が観たいと思ったなら、その時に観ればよい。禁じたりはしない。
 まあぶっちゃけドラクエというのは、世界を楽しむものだと思っている。その楽しみ方の主権は、俺にある。外部からのビジュアル的な補完はあっていい、場合によってはあってほしいとも思うが、世界自体の取り扱いは個々のものだ。だから俺は、俺の扱い方を優先するというだけの話。映画作家さんもどうぞお好きなようにおやりください、だ。

 しかし、それで気分がなんかドラクエだなーとなってしまったため、「じゃあ本家やりゃあいいじゃん」という結論へ至った。俺、健全w
 それで押し入れを発掘し、ⅤとⅥ(いずれもSFC)を探し出した。
 そしてまずⅥから始めてしまうのが、俺のズレたところだ。
 なぜチマタで話題のⅤから始めないのかw
 いやこれも息子の影響なんだけどね。息子がプレイするDQB2で、ⅥのBGMも使っててね。それがすっごく懐かしかったんだよ。それにしても、「あ、これⅥの音楽じゃん」ってすぐにわかるってのは、やっぱすげえな。すぎやまメロディのレベルの高さだな。
 そのⅥは、ちょっとした事故でとりあえず終了してしまった。
 事故といっても、たとえば冒険の記録が吹ッ飛んで、といったものではない。
 アイテム回収のために入ったラストダンジョンで、うっかりラスボスの部屋へ入ってしまい、抜け出せなくなって、仕方ないからバトったら勝っちゃった……というもの。それでやる気がボロッと削げちゃった、という。
 だってよう主人公Lv44ぽっちで各ジョブも中途半端で、勇者になる条件すら満たしていない状況で、いくらなんでも勝つかー!? という。俺のなあ俺のデスタムーアさまはなあ強いんだよ鬼のように強いんだよ。強くなきゃいけないんだよ。勇者もいないパーティに負けたりしないんだよ。ああそんなやつに世界は蝕まれていたというのか。ガッカリだ。もうぜんぜんガッカリだ……と、そういう事故。
 ウワサではⅥ、ラスボスのパラメータが主人公レベルにより一部変わるようになっていたと聞いた。つまり主人公が強いと倒しづらくなるわけだ。となれば、主人公が弱ければラスボスも弱くもなって当然ではある。勇者なしでもなんとかなりそうだと思う。思うが、でも、勇者もいない状態でなあ……(こだわりのポイント)。
 確か裏面みたいなのがあって、そのデスタムーアさまを一瞬で葬る異次元の敵がいたと記憶しているんだが、そこまでがんばる気力が失せてしまいましたよ、と。
 そこで満を持してⅤに進んでみましたよ、と。

 で。
 最初にⅤを立ち上げた時、実は、あまりのショボさに驚いた。
 それで思い出したが、リアルタイムでⅤをやった時もショボさに驚いていたのだった。
 ⅤがSFCでリリースされたのは1992年9月27日。Ⅳは遡ること二年以上前の1990年2月11日で、SFCというハードのリリースは1990年11月21日だったという。

 これらのイベントそれぞれに、ちょっとした記憶がある。
 時系列的に進めれば、まずFCⅣ。
 これのリリース当時、俺は某有名FC-RPGのオフィシャル攻略本製作に、ちょびっとだけかかわっていた。だが俺は当時まだ社員編集者であり、その会社では基本的に社外でのバイト的業務を禁じていて、そして攻略本製作は別の会社のものだったため、作業は当然のように隠密進行となっていた。
 ギャラは辞退したからバイトとはいい難いんだが、かといって同じ印刷出版業界内での話である以上、別の会社での作業自体がある種の背信行為といえる。少なくとも、おおっぴらにしていいもんではない。
 その作業現場で話題になっていたのが、DQⅣだったのだ。
 作業で顔を出すたび「どこまでいったー?」。
 なにしろ作業しているのがFC-RPG攻略本だからねえ。しかもアレですからねえ。これもある意味、すっごい背信行為っぽいw いや別に法的問題はないけどね。ぜんぜんないんだけどね。その取り合わせの違和感を、強烈に記憶しているだけでね。
 続いてSFCの発売だが、これを俺は発売当日に、予約もなしでゲットしている。
 当時SFCの発売は新聞の社会面に記事が組まれるほどの大事件で(当時はウェブなんかなく、情報伝達媒体はかなりの王様ぶりを発揮していた。新聞にピックアップされること自体が事件だったりもしたのだ)、一方生産能力は当然のように追いつかず、従って発売日に入手できたのは、ほしいと思うひと全体からすれば本当にごくわずかだった。
 価格もかなりのものだった。当時の¥25,000は、正味すごかったんだよ。誰でも即買えるというものではなかったんだよ。それに、価値観がぜんぜん違っていたの。おかあさんが「たかがハミコンにそんなに出せません!」って言う時代だったの。
 それをどうやって予約ナシで当日ゲットできたかというと、小売り業者を脅したのだ。
 予約で押さえられてはいるが予約者が取りにこないという店で、「今日の売り上げに勘定できますぜ」と囁き、奪ってきた。サクライさんごめん<本来の予約者
 本体+『スーパーマリオワールド』で定価を払ったが、店頭販売が中心だった頃には、そういうやり方もけっこう通用したんだよねえ。ああ俺なんか悪党っぽいなあ。良心が今さら疼くなあ。
 そしてⅤ、この頃には俺は卸業者さんと仲良くなっていたため、業者さんが予備として確保しておいた分を発売前日に定価で流してもらう、という行為に手を染めた。
 当たり前だが、小売店さんが発売日に店頭に並べるには、前日には現物を店舗に確保していなければならないわけで、卸業者さんには当然それより前に届いているわけだ。だがこんな“取引”、当然だが“裏”のものなのであって、だからソレはほぼ無言で進む。「アレきた?」「アレあるよ」「アレほしいなあ」「売れないよ」「引き取る」「ん」的に。ああもうホントに悪党っぽいぞ。良心が。良心が。
 ちなみにその時は二本を引き取らせてもらい、一本は当時出入りしていた得意先会社の女性に渡した。事前に頼まれていたのだ。その時たまさか同じ場にいた彼女の同僚さんたちの絶句ぶりと、一瞬あとの「ああああああイイなーイイなーオレもほしいいいいいい!」「あああああアタシもおおおおおおお!」の絶叫と地団太が忘れられない。Ⅴは当時、それぐらい話題になった作品だった。

 ……話が大幅に横道へ流れたが、まあそんな具合に各イベントがありましたよ、と。
 そして、ワクワクしながら立ち上げたゲーム画面を見て感じたことを正直にいうと、
「なにこれショボい」
 だった。

 タイトル画面がもうショボい。
 城を背景にロゴが浮かぶが、背景の城に立体感というものがない。素人の塗り絵のごとし。城の尖塔とおぼしきものが、もう板にしか見えない。円柱には到底見えない。
 音もショボい。遡ること一年以上前、1991年7月19日にリリースされたFFⅣの方がずっとイイ音だった。
 前作Ⅳから二年以上待たせてコレかよSFC発売から二年近くかけてコレかよコレしかハード活かせなかったのかよ待たせに待たせたんだからせめてオープニングぐらいバシッと決めてくれよ、と、これが当時の飾らない感想だ。<やっと発売日紹介の伏線が活きた
 だがしかしドラクエだからな、始めればきっと……と思いきや、今度は操作が重い。
 歩く速度がまず遅い。それなのに町がハンパに広い。広いクセにNPCが少ない。序盤の大きなイベントの舞台となるラインハット王国の城下町なんか、店が二軒に宿屋が一軒で民家ナシ、町を歩いているひとも三、四人しかいないんだぞ。どこが城下町なんだ激しく過疎ってるじゃねえかオイ。
 なんだろう狭いぞ、世界がすっごくちっちゃいぞ……と、当時も思った。も、というのは、今回すごく久し振りに再プレイしてみてもやはりそう思ったからだ。
 とにかくSFCのスペックがぜんぜん活きていないというのが率直なところ。
 先にⅥをやっちゃったのもいけなかったかもしれない。Ⅵはそこそこイイ感じだったのだ。グラフィックも操作性も一応は今も遊べるレベルで、SFCの八個ボタン(+十字キー)も嫌味なく活用している。グラフィックについては手作業ドット絵ゆえの融通の利かなさがあるものの、それも味わいといえば味わいの域にある。音もよい。
 一方Ⅴは、グラフィックや音、操作性は上記の通りだし、ボタンにしても三つは使わず、さらに使うボタンのうち三つは同じ機能になっていて、つまり事実上三つ(+十字キー)で操作することになっている。決定・キャンセル・便利の三種だけだ。ぜんぜんハードが活きていない。
 ぶっちゃけⅤは、色数の多いファミコンという印象だった。
 ⅥはきちんとSFCのゲームになっている。そういう大きな差がある。

 だが。だがだが。だ・が。
 プレイが進むと、ゲーム自体への感想が次第に逆転してくるのだ。
 それがどういうことかというと……んんん、疲れてきたぞ。あっ。気がついたらもう百行以上も書いてるじゃあないかあ。うう、昔話に尺を取りすぎた。失敗だ。配分の失敗だ。でもいつものことだ。毎度の話だ。俺ホントに文章書くのがヘタだなあ。
 まあいいや。あとはまた後日に。
 とにかく、ドラクエⅤはよいゲームですよという話が、これから展開するのだ。
 でもぉ、今日は疲れたからぁ、おわり。
 だいたい再プレイ中だっつっても、まだ成年ビアンカが出てきてないしな。
 続きはまたいずれに。