かどいの『I'm in Rock!-Ⅱ』

ある文筆業者(分泌業者ではない)の生存証明。基本的に毎日更新。

謝るって傲慢な行為だよね

 まーぶっちゃけ、「謝ることは、自身の非を認めることではなく、認めたという姿勢を表明し理解してもらうことで、自身および周囲の非に付随する各種の責任を免除乃至軽減しようとすることであろう。自身が非を認めたと表明するだけでそれだけの見返りを得ようとは、なんと図々しいことであろうか」って話なんで、だからこの段落で話はすべて終わっちゃったよーなものなんですがww


 よーするに「謝る人」ってのは、「自分が頭を下げれば事態はいい方向へ向くだろう」とか思ってやがるわけですよ。これが傲慢でなくてなんなんだw
 いや別にね、ユッケがどうの、東電がどうの、九電は……って話じゃないんですけどね。実際、彼らの問題は、謝罪云々で解決するようなものじゃないし。
 だいたい、「非」があった場合、それに対する責任は多岐に分かれてゆくわけで。
 たとえば交通事故を起こした場合なら、民事上の責任(壊した物やけがをしたひとに対する賠償など)・刑法上の責任(自動車運転過失傷害とかね)・行政上の責任(免許の点数ですな)のみっつが最低でも絡んでくるわけで、それらの責任はリンクしつつも基本的に独立であって、そして謝罪すれば済むってもんでもない。謝罪がどうにか通用するかもしれないのは民事だけで、他は謝っても転がってもどーにもなんない。
 同様に電力会社の問題は、トップが謝ったり辞めたりって話じゃおさまらず、補償だのなんだのの問題がむしろメインになってくるわけで、それがクリアされていかなきゃどーしようもない。謝ることはイベントのひとつに過ぎず、当然ながら事態の本質には全然届きません。
 自分が今いっていることは、もっと卑近な、それこそ「てめコノヤロ、謝って済むならケーサツいらねえぞ」なんて軽口を叩かれる程度の話です。(でもこれもヘンな言い方だよな。警察は基本的に民事不介入なんだから警察が出張るのは刑法上の問題があった時で、そして刑法においては謝るってのは全然役に立たない。そこに警察を引っ張り出してくるのは、いってみれば「おい熊さんが茶碗を落として欠いちまった、急いで表の呉服屋の旦那を呼んでこい」っていうのと同じぐらい、意味わかんねーよな)


 実際のところ、あらゆる「引き起こされた事態」というものには、上の例の交通事故のごとく、いくつもの責任が発生してるんですよ。
 それはたとえば、れいぞーこにあったケーキ、誰ソレちゃんの物だと知らずに食べちゃった……というような事態でも、そう。
 これを法律っぽく解釈したら、まずケーキそのものについての賠償責任があるでしょ。刑法的に考えたら、無断で食べちゃうのって窃盗に当たるのか? あと最近なら、「今夜お風呂上がりに楽しく食べようと思ってたのに、その機会を奪われて、自分は深く傷つき、本来だったら経験できたはずの楽しい時間も奪われました。なんとかしなさい」っていうんで、慰謝料も発生しかねないw
 で、謝って済ませる、っていうのは、それら全部を頭いっこ下げるだけでチャラにしようって魂胆なわけですね。
 傲慢でしょ、それって。
 おめーの頭いっこに、それだけの価値があんのかコラ、っていう。三百円のケーキ食われて「あ、ごめーん」で済むんなら、おまえの頭いっこ下げで最低でも三百円にはなるってわけだな。そんなに価値あんのかおまえの頭は……という。


 まあ、コトがケーキぐらいだったら、まだいいですよ。
 これが人間関係の問題になってくると、そもそも簡単に他の価値になぞらえることができないものであるだけに、こんがらがってくる。
 中には、事態を悪化させないためにまず謝っておく、みたいな手段を採る輩がいたり、お節介にも話の途中で割り込んできて「ごめん、今こいつ失礼なこと言った。代わりに謝っておくから」なんて言い出す輩もいる。
 おい。おまえが間に立つことで、そんなに事態が変わるほど、おまえは、おまえ自身に価値があると思ってやがるのか。いい加減にしろ。おまえはそんな器じゃない。むしろおまえの出現で、事態がいきなりコジれたことに気づけよな。


 そう、つまりそーいう「謝り型」の人間ってのは、一見「常に状況に気を配り、自身を控えめに保てる人格者」のように見えて、実は「自分が謝れば事態が収拾へ向かうと思っている、ものすごーく驕り高ぶったヒトリヨガリ野郎」なんですね。
 そしてそういう輩はたいがい器が小さいんで、大局が見えていない。
 そいつが謝って話を中断させたおかげで、あとで(そいつにとっては)思わぬかたちで事態がぶり返したりもする。それに対する懸念があるからこそこっちは踏み込んでるんだぞ、それに気づく器もねえのにしゃしゃり出てくるな……ってことです。
 おまえがここで安い頭を下げたせいで、あとでもっと高い頭が下がらなきゃならなくなるってのを読めよ……って無理かw 無理だからそこで謝ってるんだよな。ああ困ったねえ、まこと「燕雀いずくんぞ鴻鵠の志を知らんや」だねえ。


 というわけで。
 自分は最近、いきなり謝ってくる相手がいたら、「なぜ謝る? 謝ってどうするつもりだ? 謝ったらどうにかなると思っているのか?」と、容赦なく追求することを心がけてます。まあ自然と敵は増えますが、それでも中途半端に煮え切らないまま事態がうっちゃっておかれるよりは、ずっといーです。
 つか、下げる自分の頭にそんなに価値があると思い込んでいるような知恵足らずには、正直、周囲にいてほしくないんですよ。だから、そういう輩はむしろ敵になってくださった方が、ずっとありがたいです。
 え? なに? なんか言いたいことがあるのか? 言ってみろ。
「自分の態度が、そんなにあなたを憤らせているとは知りませんでした。すみません、お詫びします」




 ほぁぁ……。