世間は奇妙な変換装置だ。時間が金に変わり、金が食い物に変わり、食い物はこれまたいろいろ違うものに変わる。そこに等価交換のルールは存在し得ない。本来つながりようもないものが、次々とつながっては姿を変えてゆくだけなんだ。形而下的にも、形而上的にもね。
もちろん愛も、そういうつながりを構築するもののひとつだ。自分が得られる愛は、自分が思いもしないものから生じているし、自分が捧げた愛もまた、自分の思いもしない意味やかたちで受け取られている。なぜって、人間は世間の一部であり、世間はまぎれもなく人間の集積だからだ。つまり、人間こそが奇妙な変換装置そのものだってことさ。
