かどいの『I'm in Rock!-Ⅱ』

ある文筆業者(分泌業者ではない)の生存証明。基本的に毎日更新。

#261

 よく「想像の世界は無限だ」などというおばかな発言を見たり聞いたりするが、実際には想像は有限で、しかもそれはしばしば肉体の(=形而下的な)限界と連動していたりする。試しに、頭の中で高い音程で歌う自分を“想像”してみればいい。ある高さまで達するとそれ以上は想像することができなくなり、それでも高い音を想像しようとすると喉から舌の付け根辺りまでが痺れてくる。これはわかりやすい例であって、想像の題目が肉体に直接かかわらないものであっても、結局はどこかしらで肉体と関係した限界にたどりつく。その線を突破できるのはごく一部の限られたひとびと、一般的には天才と呼ばれるようなひとびとだけだ。もちろんその実数は、極めて少ない。