かどいの『I'm in Rock!-Ⅱ』

ある文筆業者(分泌業者ではない)の生存証明。基本的に毎日更新。

#314

 アニミズムというのは実に便利な作法であって、形而上下の別どころか他者との概念の共有の有無さえ問わず勝手に神格を設定できる。ある個がそれを崇め始めたら、他者がなにをいおうとその個にとってそれは神なのだ。ただ問題は、他者にとってその信仰が理解不能になる例が多いことと、場合によっては信仰をもつ個自身さえ自らが対象に与えた神性に気づかずにいる例があることだ。後者の場合はさらに、自身がそれを崇めていることにすら気づいていない例もある。そういう者はしばしば、自身は信仰とは無縁で、自身の行為は純粋に客観的な論理の積み重ねに因っておこなわれていると信じていたりする。周囲の者にとってこれはもう最悪の事態である。