かどいの『I'm in Rock!-Ⅱ』

ある文筆業者(分泌業者ではない)の生存証明。基本的に毎日更新。

ゆもぐりの夢(かどいの「I'm in Spa!」)

 深夜に活動をおこなうための(ってそれ不健康だからいい加減やめとけよ>自分)準備としての20時頃からの仮眠、その一時間ばかりの間になんかもんのすごーく久しぶりにウィザードリィの夢を見た。
 ゲームをプレイしている夢ではなく、自分自身がその世界にいる夢。それも「えっこんなとこ来ちゃったどうしよう」ではなく、そこで普通に生活している夢。

 場所はトレボーの城砦都市の近所と思しい。
 洞窟を利用して岩山の山肌に造られた旅籠で働く、盗賊技能をもつ接客係兼雑役夫というのが俺の立場。
 宿は自然の湧泉を活かした温泉施設がウリで、なにしろもとが洞窟だから狭苦しく入り組んだ構造になっている。それがむしろ評判で、“冒険はちょっとアレだけどそういう気分は味わってみたい”という普通の旅人や市民に人気がある。印象としては、映画『ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔』にちょっと出てきた、イシリアンの野伏たちの隠れ家ヘンネス・アンヌーンによく似ている。
 ここで俺は、ルーティンワークのひとつである温泉の見回りを終えて戻り、冒険者稼業をやっている昔の盗賊仲間からの相談事をひとつ片づけ(といっても『迷宮(と書いて“あな”と読む)ン中ぐるぐる回ったけど先へ行く道が見つからねえよ』と問われ『じゃあそりゃまだ先へ行くなってカドルトの御告げだから迷っとけ』と答えるだけだがw)、温泉巡りを所望する冒険者崩れの髭面と若造を温泉へ連れて行く。

 ここの温泉がまたひでえ造りで(とか従業員がいうなよw)、もともと自然に湧いていたのを入浴用に改造したもんだから、岩がゴツゴツしてるわやたら熱いわ、しかも一部が妙な具合に繋がっていて、源泉側から全長三メートルぐらいの横穴を潜って進んだりなんかするとわりときれいに整備された中浴場に出るなんて構造になっていて、迷うと溺れるw
「こないだも戻ってこない客がいるもんだから探したら、そのトンネルの途中でぶっくぶくになってひっかかっててねー」
 とか説明しながら「で、潜る?」とか客に訊いてんのな俺w
 そんな話を聞いて誰が潜るというのか。

 宿の中に、浴場は四つだか五つだか。
 大浴場ひとつ(ここは完全に人工)、自然の泉に手を加えた中規模がふたつかそこら、源泉ほとんどそのままというのがみっつあるかどうか。よく憶えていない。
 それら全部をぐるっと回るのが“巡り”。
 ちなみに全部が混浴らしい。女性客の姿はなかったが。

 夢は最終的に、土左衛門のひっかかっていたトンネルに髭面が挑むと決めた辺りで終わった。俺はすでに見回り時に通過済み。
 ここを通るには完全に潜らなければならず、出た場所から元の場所へは戻れないので、その間の衣類をどうするかで揉めている最中に目が覚めた。
 俺は「たたんで体に括りつけて泳いでください、それがここのやり方なんで」と言い、髭面は「いや出る先に着替えを準備してから」と言い、若造が「うーん、ビニールの袋に詰めたらいいんじゃないすかね?」と時代考証もへったくれもないことを言って、「ビニールっておい、それ反則」と言いかけた時に「……え。なんかおかしいぞ」と気づき、覚醒した次第。
 あんなこと言われなかったらもう少し“冒険”できたのになあ。
 残念。

 なんだか楽しい夢だったなあ。
 たまにああいうのが混ざると楽しいねえ。
 ああそういえば、最初に巡回をする時の温泉の雰囲気って、筒井康隆『エロチック街道』みたいな感じだったかも。夢だけあっていろいろ混ざってんのねw