若いうちはなんでもおおげさに捉えがちだが、それはいわゆる針小棒大ってやつじゃあない。当人にとっちゃ、それは正味おおごとなんだ。なにしろ、経験ってものがまだ身についていないんだからね。だが、いい齢になってもそれが続くようじゃダメだ、経験があるはずなんだから。いい齢になったら、ものごとを相応の規模で捉えながら、なおそれに大きく感じるようにならなきゃいけない。いい齢になってもそれができず、どころかその違いさえわからなかったら、自分の過去はまるごと無駄だったと思うべきだ。つまり、馬齢を重ねちまった、ってことさ。