かどいの『I'm in Rock!-Ⅱ』

ある文筆業者(分泌業者ではない)の生存証明。基本的に毎日更新。

#256

“物”、特に人間が発明した道具の類の本質を考えることは、けっこうおもしろい。余分を削いで削いで削ぎ落として、その物が果たすべきことを考えるということだ。たとえばそれが車であれば、その本質は運ぶことにある。人力車であれ馬車であれ自動車であれ、車の本質はおそらくそこなのだ。駆動力や操作性はすべて本質に添えられた“部分”であり、ましてや自動車の居住性やカラーリングなどはオマケのオマケに過ぎない。そういう目でさまざまなものを見たあとで改めて今身の周りにある物の価値を考えると、いかに無駄あるいは余剰が多いかがわかる。そしてそういう無駄や余剰が、とても愛しく思えてくる。本質からかけ離れた要素がなぜその物に加えられているのかが、ようやくわかってくるというわけだ。