かどいの『I'm in Rock!-Ⅱ』

ある文筆業者(分泌業者ではない)の生存証明。基本的に毎日更新。

#391

「つくる」とはいうが、物理的になにかを作ろうとする場合、それは「素材の不要部分を棄ててかたちを整える」ことに他ならないわけで、つまり材料の物理的な質量を減らして完成品と見做すことを「つくる」と呼んでいるのだ。当然、素材の一部はゴミとなり廃棄されるわけで、それは「つくる」ということばがもつ生産的な印象とはずいぶん違う性格を備えた行為といえる。そうして生じた完成品には、創意や新たな性質(性格)といったものが付与されていて、強いていえばその部分が「つくられたもの」になるわけだが、これがやはり人間の価値観に基づいて設定されるものゆえ、物理的にはやはり存在しないのと同じだ。結局人間のやっていることは、“資源”を食い潰し減らし続けること以外のなにものでもない。