人生の前借り
21歳の時、大学を辞めた。
自分が最初に思い描いていた自分の人生を辿る道は、その時点で閉ざされた。
でも実は“最初に思い描いていた自分の人生”ってのは、次善の策だったのね。
「こういう具合に生きてみたいけど、それはまず無理だから、そのフレイバーを残しつつ“現実的”にやってみよう」
と思って考えた方策だったわけ。
それがポシャッたわけで、するとあとは「もう好きなようにやるしかない」という状態になった。
そして、そうした。
最初はおずおずと始めたが、意外にそれで大丈夫だってことがわかり、だんだん図々しくなった。10年後には、そもそも自分が最もやりたかったように生きていた。
その期間が20年間続き、今もその延長上にいる。
そして思う。そして若いひとたちに言う。
「やっぱ好きなようにだけやってくると、晩節キビシイっす」
ついでにひとこと。
晩節キビシイが、少しずついろんなことが自分の思惑とズレた状況をずーっと我慢しつつ30年過ごすことは、多分俺には無理だった。世の中には我慢し続けの40年のあとで自分の思惑を実現することに向いているひともあるのだろうが、俺は逆だ。早いうちにやりたい放題をやり、そこで生じた負債を後払いで返すようなスタイルの方が合っている。今がキビシイのは、そろそろ返済の時期に入ってきたからなのだろう。そしてその返済を遂行するだけの意味がある時間を、俺は過ごすことができたと思っている。
まあ遊べるチャンスがあったらまだまだ遊ぶ気合は充分以上にあるけどな。