かどいの『I'm in Rock!-Ⅱ』

ある文筆業者(分泌業者ではない)の生存証明。基本的に毎日更新。

#3091

 地球上での生物の進化の歴史は、発生した場所である水からどれだけ離れて生きてゆけるかの歴史といえる。ついには酷暑の砂漠でも生きられる生物も生まれたが、かといってまったく水がない状態で生きられるわけではない。ごく少量の水を大切に扱う体制を得て乾期に耐えているのである。一方、人間の文化というものは、どれだけ動物としての人類の在り方から離れるかを目指してきた。動物めいた行動、本能的な行動を、あるいは排しあるいは観念へすり替えて、人間として自身を律することを目指すのが文化なのである。しかし、砂漠の生物がそれでも水なしでは生存できないように、人間もまた動物としての側面をまったく捨て去ることはできない。人間にとって人類の要素のどれが砂漠の生物の水に相当するものなかを探り続けることが、文化を進める時に忘れてはならないことなのである。動物としての人類の要素を完全に失うことは、人間が滅びることと同義なのだ。